先生・教師をテーマにしたおすすめ小説をまとめます。読む楽しみを損なうようなネタバレはありません。
親しい友達におすすめするテンションで好き勝手言っていますので、
個人の感想として参考にしていただけると幸いです。
本選びの基準
うにの本選びの基準は以下です。
Kindle Unlimitedを契約しているので、その対象本から選ぶことも多いです。
小説は入れ替わりが激しいので、読みたい本が対象であればすかさず読むのがポイントです!
今回は、ウルッとくるものからゾクゾクするものまでジャンル幅広めです!
先生・教師をテーマにしたおすすめ小説5選
「二木先生」夏木志朋
どうしたら普通に見えるんだろう。どうしたら普通に話せるんだろう――。いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは言わない。クラスのなかで普通に息さえできたなら。そのためならば、とむかしから好きでもない流行りの歌を覚え、「子供らしくない」と言われれば見よう見まねで「子供らしく」振舞ってもみた。でも、ダメだった。何をやっても浮き上がり、笑われてしまう。そんな田井中にとって唯一の希望は、担任の美術教師・二木の存在だった。生徒から好かれる人気教師の二木だったが、田井中はこの教師の重大な秘密を知っていたのだ。生きづらさに苦しむ田井中は二木に近づき、崖っぷちの「取引」を持ち掛ける――。社会から白眼視される「性質」をもった人間は、どう生きればよいのか。その倫理とは何か。現代の抜き差しならぬテーマと向き合いつつ予想外の結末へと突き抜けていく、驚愕のエンタテインメント。2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。(出版書誌データベースより)
直近で読んだ本です。本屋で鮮やかなカバーデザインと目が合ってしまいました。「マイノリティの二人が理解者を見つけて…」という話かと思いきや全くそうではなく、もう終始空気が悪すぎて笑います。そろそろ殺人事件起こるんじゃない?とヒリヒリしました(起こりません)。主人公の広一は痛いクソガキという感じで眉を顰めたくなるのですが、周りに溶け込もうと空回る姿や自分の特別さを信じることで自分を守る姿には妙に共感してしまう部分もあり、「嫌な小説だなぁ~(褒)」と思いました。「許されない性癖を持っていても、完璧に隠し通せば許されるべきか?」というのは、「バレなければ浮気じゃない」理論と通ずるものがありますね。秘密が明るみに出てしまったらその時点で二木先生は当然教師を辞めるべきだろう、とうには思いましたが、これも「正論で殴るマジョリティ」の考えなのかなあ…。結構ウッとくる感じの描写が多いものの、独特な魅力のある小説でした。
人間関係にヒリヒリする度:★★★★★
読了後の考えさせられる度:★★★★★
また読み直したい度:★★★☆☆
「高校入試」湊かなえ
県下有数の公立進学校・橘第一高校の入試前日。新任教師・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を見つける。迎えた入試当日。試験内容がネット掲示板に次々と実況中継されていく。遅れる学校側の対応、保護者からの糾弾、受験生たちの疑心。杏子たち教員が事件解明のため奔走するが……。誰が嘘をついているのか? 入試にかかわる全員が容疑者? 人間の本性をえぐり出した、湊ミステリの真骨頂!(出版書誌データベースより)
高校入試が人生を決めるという緊張感に胃がキリキリする序盤。学生たちにとっては死活問題なのに、先生たちにとっては年に一回のありふれた行事…ちょっと複雑な気持ちになります。湊かなえさんの作品らしく、それぞれの事情やらエゴやら好き勝手な思惑やらが複雑に絡み合いながら事件の真相が紐解かれていきます(まともな大人はおらんのか??)。個人的に事件の真相はわりと予想の範囲で、動機もそれなりに共感できるものではあるのですが、それでもこんな複雑で大それたことやるか?という感じでした。ミステリーというより人間ドラマを楽しむ本ですね。先生・生徒をはじめとして登場人物が多く一気に読まないと結構混乱するかも。子供たちにどうも感情移入してしまって、最後は彼ら彼女らに明るい未来があることを願ってしまう一冊です。
入試のドキドキ感:★★★★★
読了後の満足度:★★★☆☆
また読み直したい度:★★★☆☆
「5年3組リョウタ組」石田衣良
中道良太25歳。涙もろくて純情で、でも根っから「いまどき」の男子でもある若き小学校教師が地方都市の名門公立小学校を舞台に縦横無尽の大活躍!!(出版書誌データベースより)
こちらは打って変わってハートフルな小学校モノです。茶髪にネックレスないまどきの若者、でも涙もろくてまっすぐな4年目教師のリョウタ先生。担任を受け持つ5年3組で次々と発生する問題に向き合いながら、先生も生徒たちも成長していくさまが描かれています。リョウタ先生と対照的に描かれている、キザで冷静沈着な染谷先生との関係性も魅力的(逆転裁判の成歩堂・御剣コンビをちょっと彷彿とさせます)。石田衣良さんの作品は読みやすく、現実感とフィクションのバランスの良さが魅力だと思っていたのですが、こんな温かくてやさしい話を書かれるイメージがなかったので新たな発見でした。ちょっと夏目漱石の「坊っちゃん」を連想するな、と思っていたら、「21世紀版「坊ちゃん」」と紹介されていました。先生っていいな、子どもっていいな、と素直に思える爽やかな一冊です。
登場人物を応援したくなる度:★★★★★
読了後の爽快度:★★★★★
また読み直したい度:★★★☆☆
「青い鳥」重松清
村内先生は、中学の非常勤講師。国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない。でも先生には、授業よりももっと、大事な仕事があるんだ。いじめの加害者になってしまった生徒、父親の自殺に苦しむ生徒、気持ちを伝えられずに抱え込む生徒、家庭を知らずに育った生徒──後悔、責任、そして希望。ひとりぼっちの心にそっと寄り添い、本当にたいせつなことは何かを教えてくれる物語。(出版書誌データベースより)
こちらもハートフルな中学校モノ。中学校の非常勤講師である村内先生は見た目もパッとしない普通のおじさんで、国語の先生なのに吃音で言葉がすらすら出ません。様々な悩みを抱える生徒たちに鮮やかな解決方法を提示するわけではなく、ただ一緒にいて、「たいせつなこと」を言葉少なに語ります。うまく話せないからこそ「たいせつなこと」しか話さず、だからこそ生徒たちの心の深いところに届く、という一貫したコンセプトは、人と人とのコミュニケーションの本質を感じました。言葉じゃなくて心なんですよねぇ…。忙しい現実に疲れて精神がすり減ったり、ささくれだった気分になったときに、そっと癒しを与えてくれるような柔らかい一冊です。
心が洗われる度:★★★★★
読了後の満足度:★★★★★
また読み直したい度:★★★★☆
「二十四の瞳」壺井栄
海辺の寒村に、女子師範学校出の大石先生が赴任してきた。担当する分教場の小学一年生は十二人。新米先生は、様々な家庭の事情を抱えた生徒たちを慈愛に満ちた眼差しで導き、時と場所を越えた師弟関係を築いていく。やがて戦争、そして敗戦。自らも苦渋の季節を経て、四十になった先生は、再び分教場の教壇に立ち、昔の教え子の子どもたちと出会う。真の師弟愛を描いた不朽の名作。(出版書誌データベースより)
古いですが語り継がれるべき名作だと思います。KindleUnlimitedで読みました。中学生くらいのときに一度読んでいて、そのときは「地味であんまり面白くない話だなあ」と思った記憶があったのですが、年を取るとまるっきり感想が変わるものですね…。新米教師の大石先生が、慣れない環境で悩みながら生徒や島民たちと親交を深めていくのどかな描写から始まり、そんな日常に戦争が暗い影を落としていきます。悲惨さ残虐さを前面に感じさせる描写が少ないため中学生のころはピンとこなかったのですが、大石先生の子どもたちに対する愛情、笑顔で戦地に送り出さなければいけないことへの疑問、悲しみが胸に迫ります。テーマが重いので、手に取るのになかなかのエネルギーが必要ですが、もっと年を取ってからまた読み直したいなと思う大切な一冊です。
人間ドラマにグッとくる度:★★★★★
読了後の考えさせられる度:★★★★★
また読み直したい度:★★★★★
気になる小説はありましたか?よろしければ読んでみてくださいね♪