【読書記録】就職活動、就活がテーマの小説5選。浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」ほか

【読書記録】就職活動がテーマの小説5選。浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」ほか 読書記録
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こんにちは、うにです!

「就職活動、就活」をテーマにした小説をまとめます。読む楽しみを損なうようなネタバレはありません。

親しい友達におすすめするテンションで好き勝手言っていますので、
個人の感想として参考にしていただけると幸いです。

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本選びの基準

うにの本選びの基準は以下です。

・本屋さんで目立つところに置いてある本
・好きな作家さんの本
・テーマに興味がある本
・表紙やタイトルが気になった本
・文庫化されている本

Kindle Unlimitedを契約しているので、その対象本から選ぶことも多いです。
小説は入れ替わりが激しいので、読みたい本が対象であればすかさず読むのがポイントです!

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就職活動ものって、デスゲームを見てる気分になるんですよね。。

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就職活動、就活をテーマにした小説5選

「六人の嘘つきな大学生」浅倉秋成

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。(出版書誌データベースより)

話題作だったので文庫化を楽しみにしていました。就活にまつわるウェットな人間ドラマというよりは「就活という特殊状況で起こった事件とその顛末」を楽しむ作品で、とても読みやすいです。かんたんに言うと「キラキラ新進IT企業の内定枠を、個性あふれる美形大学生6人が奪い合う」というシンプルな設定なのですが、事件の犯人は?最終的な内定者は?といった真相に辿り着くまでに「こんなに振り回す!?」と思うくらい何度も急旋回するのが面白いです。就職活動という本音と建前についていろいろ考えさせられる場面を舞台に、「人の印象の多面性」をミスリードとしたミステリーに仕上がっているのが新鮮でした。表紙の絵の男女はどれが誰なんだろう…?

作者の掌の上で踊らされる度:★★★★★
読了後の満足度:★★★★★
また読み直したい度:★★★★☆

「プロパガンダゲーム」根本聡一郎

「君たちには、この戦争を正しいと思わせてほしい。そのための手段は問わない」大手広告代理店「電央堂」の就職試験を勝ちあがった大学生8名。彼らに課された最終選考の課題は、宣伝によって仮想国家の国民を戦争に導けるかどうかを競うゲームだった。勝敗の行方やいかに、そしてこの最終選考の真の目的とは?――先の読めないゲーム展開と衝撃のラストが、宣伝広告の本質、ネット社会における民主主義とはなにかを読者に問いかける。アマゾン電子書籍の人気作を大幅改稿した完全版!(双葉社公式サイトより)

こちらは就活を描いた作品としてはさらに非現実的な話なのですが、これまたとっても面白いです。場面は大手広告代理店の最終選考、候補者8人が2陣営に分かれ、オーディエンスの投票を勝ち取るためにあらゆる戦略を練るさまが描かれます。自軍を有利にするためなら妨害あり、裏切りあり、愛嬌あり、捏造あり…。「誰が内定するの?どっちが勝つの?」と、展開が気になって一気に読んでしまいました。候補者それぞれの個性が光るドラマ性を楽しみつつ、広告やメディアの影響力についても思わず考えさせられる一冊です。選考パートが面白くて、あとの結末は若干やっつけ仕事みたいな感じではあるのですが、ライアーゲームとかカイジとかが好きな方には刺さる内容だと思います。うにはとても好きです。

エンタメ度:★★★★★
読了後の満足度:★★★★☆
また読み直したい度:★★★★☆

「何者」朝井リョウ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。(出版書誌データベースより)

リアルでウェットなほうの就活小説です。今回ご紹介している5冊の中では一番心を抉られるタイプのお話ですね。就活を目前にして心がずっと重い感じ、仲がいい友達と協力したい反面、微妙な気持ちを抱いてしまう感じ、いきなり「人脈」とか「フットワーク」とか言って張り切りだしてしまう感じ、そんな周囲の雰囲気に対して気持ち悪さを抱いてしまう感じ…。「正面からの就活を経験したことがある人ならおそらく見に覚えのある、ありとあらゆる負の感情」がすばらしい解像度で描かれていて感服してしまいます。さらにこの作品でもう一段階すごいと思ったのは、ここまで負の感情を畳みかけていく展開でありながら、「若いからやり直せる、状況は変えられる」という説得力をもってしっかり希望のあるエンドにまとめているところ。全編通してあまりに色々つらいので、ラストの読後感が悪くなくてホッとしました。

描写のリアル度:★★★★★
読了後の被ダメージ度:★★★★★
また読み直したい度:★★☆☆☆

「シューカツ!」石田衣良

水越千晴は、ファミレスのバイトを頑張る大学3年生。この春、学内の仲間6名と「シューカツプロジェクトチーム」を結成した。その目標は、最難関マスコミへの全員合格! クールなリーダー、美貌の準ミスキャンパス、理論派メガネ男子、体育会柔道部、テニスサークル副部長、ぽっちゃり型の女性誌編集志望と個性豊かなメンバーの、闘いと挫折と恋の混戦の行方は…。シューカツを通じて、自分の知らない自分に気づいていく仲間たち。直球の青春小説!(出版書誌データベースより)

こちらもわりとリアル寄りな就活のお話ですね。とはいえ登場人物のキャラクター付けがわかりやすく、上記の「何者」よりはコミカルな雰囲気です。あまり自分と重ねて「うっ…」と苦しくなる感じがなく、野次馬根性で人間模様と選考状況を楽しめる感じでした。就職活動を通して自分や仲間について考えたり、前向きになったりへこんだり。わりとご都合主義的な展開も多いですが、共感できる部分が多くて気持ちよく読める1冊です。

読みやすい度:★★★★☆
読了後の満足度:★★★☆☆
また読み直したい度:★★☆☆☆

「あの子が欲しい」朝比奈あすか

新人採用プロジェクトを完遂せよ。アラフォーの川俣志帆子はそのチームリーダーに突如指名された。ネットの裏工作や学生との心理戦を制し、成果を上げるが、なぜか心は満たされない。同居する男には惑わされ、猫カフェの猫ザビーだけが癒やし。このままでいいの? 独身女性の働く辛さをリアルに描く!(出版書誌データベースより)

一転して、こちらは人事採用担当者を主人公とした就活小説です。インターン内容の工夫、優秀人材の囲い込み、イメージ戦略…などなど採用担当者側の苦心ポイントが少し想像できるようになって面白かったです。個人的にはそういったプロジェクトの事情がもっと掘り下げられていくのかな?と予想して手に取ったのですが、同居男性との不和や猫カフェの猫への執着など私生活の様子がフォーカスされていき、「パキッとしたお仕事パート」と「混沌とした私生活パート」のギャップが不気味な印象でした。世の中みんなばりばり働いているように見えても、心に何かしら闇をもっているもの…というメッセージなんでしょうか。と何とも言えない気持ちになる一冊でした。

仕事への理解が深まる度:★★★☆☆ 
読了後の被ダメージ度:★★★☆☆
また読み直したい度:★★☆☆☆

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気になる小説はありましたか?よろしければ読んでみてくださいね♪

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