アイドルや推し活がテーマとなっている小説をまとめます。読む楽しみを損なうようなネタバレはありません。
親しい友達におすすめするテンションで好き勝手言っていますので、
個人の感想として参考にしていただけると幸いです。
本選びの基準
うにの本選びの基準は以下です。
Kindle Unlimitedを契約しているので、その対象本から選ぶことも多いです。
小説は入れ替わりが激しいので、読みたい本が対象であればすかさず読むのがポイントです!
「推し文化」が生み出す独特の愛憎劇、必見です!
アイドルや推し活をテーマにした小説5選
「推し、燃ゆ」宇佐見りん
「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」。高校生のあかりは、アイドル上野真幸を解釈することに心血を注ぎ、学校も家族もバイトもうまくいかない毎日をなんとか生きている。そんなある日、推しが炎上し―。第164回芥川賞受賞のベストセラー。時代を映す永遠の青春文学。2021年本屋大賞ノミネート。(紀伊國屋書店より)
「推しの炎上」という大変分かりやすいシチュエーションからはじまる本作。カバーのかわいらしさ、タイトルのポップさ、文庫版の物理的な薄さをみて「若い人にはこういうのが受けるのね~」なんて斜に構えて読み始めたのが恥ずかしくなるくらい奥行きのあるお話でした。推し活にすべてを注ぐ女子高生、ある日推しが事件を起こし…という「いかにも普通」な風景とともに描かれる、「平均を想定して設計されている社会にどうしても歩調を合わせられない個人」の生活。周囲の理解のなさに胸が痛みつつ、現実に置き換えて一番共感できるのは姉の心情かもなあ…と思うなどしました。あとがきで作者の年齢を知ってひっくり返りました。才能すごい。ほかの作品も読みます。
考えさせられる度:★★★★★
読了後の満足度:★★★★★
また読み返したい度:★★★★☆
「武道館」朝井リョウ
「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。さまざまな手段で人気と知名度を上げるが、ある出来事がグループの存続を危うくする。恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル…“アイドル”を取り巻く様々な言葉や現象から、現代を生きる人々の心の形を描き表した長編小説。(紀伊國屋書店より)
こちらは女性アイドルグループのメンバー側に焦点を当てたお話。キャラも考え方もばらばらで個性豊かなNEXT YOUのメンバーたちが魅力的で、舞台裏を覗かせてもらっているようなワクワク感を味わえます。「ありのままの自分」と「求められる自分」とのギャップに苦しむ年頃のメンバーたちの葛藤が切実で、推される方も普通の人間なんだよなあ、ということを感じさせられます。「歌うこと踊ることが大好きだからアイドルになりたい!」と願う主人公の愛子と、年頃の未成年を偶像として祭り上げて大衆からお金を集めるビジネス。順調に噛み合っているように見える裏で大きくなっていく歪み、何も犠牲にしたくない愛子の選択はいかに。結構前に読んだ本ですが印象に残っている一冊です。
アイドルたちの魅力度:★★★★★
読了後の感動度:★★★★☆
また読み返したい度:★★★★☆
「推しの殺人」遠藤かたる
大阪で活動する三人組女性地下アイドル「ベイビー★スターライト」は、様々な問題を抱えて危機的な状況にあった。尊大な事務所社長、グループ内での人気格差、恋人から暴力を受けているセンター…そのような中で、“ベビスタ”はさらに大きな問題に見舞われる。メンバーのひとりが事務所で人を殺してしまったのだ。彼女の罪を隠蔽するため、三人は死体を山中に埋めることを決意して―。第22回『このミステリーがすごい!』大賞文庫グランプリ受賞作。(紀伊國屋書店より)
こちらも女性アイドルグループのメンバーが主人公の話ですが、上記の「武道館」よりもだいぶきな臭い話です(タイトル通り)。「んなわけあるかい」という感じのトンデモ展開続出ながら、終始テンポよく、メンバー3人のキャラも立っていて楽しく読めます。とにかくすべてが場当たり的で軽率なのに不思議とうまくいく彼女たちの隠蔽工作から目が離せず、いつしか感情移入して声援をおくりたくなってしまいます。緊張感と刹那的な成功、秘密の共有によって深まる絆…といった物語の要素は「地下アイドル」と親和性が高く、ミステリーといわれると「ミステリーか?」という感じではあるものの独特の魅力を感じる作品でした。
スリリング度:★★★★☆
読了後の満足度:★★★★☆
また読み返したい度:★★★☆☆
「婚外恋愛に似たもの」宮木あや子
容姿も、仕事も、家族も、生い立ちも、社会における立ち位置もバラバラの5人の女。彼女らの共通項は、35歳。夫あり。そして男性アイドルユニット「スノーホワイツ」の熱狂的ファンであること。彼女たちの愛は、夫ではなくステージで輝く若く美しい「恋人」に遍く注がれる。哀れでも、歪んでいても、これはまぎれも無く、恋。だからこんなに愛おしい―。“最凶恋愛小説”。(紀伊國屋書店より)
男性アイドルユニットのファンである5人の女性のお話です。彼女たちの推しである「スノーホワイツ」はメジャーデビュー前のメンバーで構成されたユニット。旧ジャニーズJrみたいな感じです。大人の女性の「推し活」を描いた作品というのが珍しいなと思って手に取って、1章を読み終えた時点で「うーん…」という感じだったのですが、読み進めるごとに構造がわかって面白くなっていくタイプの本でした。普段は絶対に交わらない階層の女性たちが、「推し」というひとつの共通点で交わり、関係を深める様子は危うくもあり羨ましくもあり。どんなに生活に疲れていても夢中になれる存在があるっていいなあ。同年代くらいの女性であれば共感できるところが多い作品だと思います。
登場人物への共感度:★★★★☆
読了後の満足度:★★★★☆
また読み返したい度:★★★★☆
この本が気に入った方にはこちらもおすすめ!
「私が推しを殺すまで」櫻井千姫
「もし、人をひとりだけ殺していいって言われたら、誰を殺す?」クラスメイトの男子―月宮夜舟にそう問われ、庄司波菜子が真っ先に思い浮かべたのは、アイドルグループ「バックトゥザナウ」の推しメン・藤川勇の顔だった。不可思議な友情で結ばれた高校生男女の犯罪計画は、驚くべき大胆さで実行に移されて…。衝撃の青春クライム・ノベル誕生!!(紀伊國屋書店より)
こちらも男性アイドルユニットを題材としたお話。アイドルを信奉する高校生の女の子、その女の子に好意をもつ同級生の男の子、推されているアイドル当人の3人の視点で物語が進みます。上記の「婚外恋愛に似たもの」の次にこちらを読んだので、推しに向ける思いの若さ・ストレートさが印象的でした。あっさりした描写で軽々とショッキングな展開に転がる感じは、一昔前の携帯小説を思い出す部分もあったり。行動に至るまでの動機付けに若干物足りなさを感じつつもサックリ読めました。推す側の視点と、推されている側の視点の温度差がなんとも救いようがなくてリアルです。学生時代に読んでいたらもっと共感出来たのかな。
サスペンス度:★★★★☆
読了後の後味が悪い度:★★★★☆
また読み返したい度:★☆☆☆☆
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