【読書記録】新興宗教・カルト団体が出てくる小説5選。角田光代「八日目の蝉」ほか

【読書記録】新興宗教・カルト団体が出てくる小説5選 読書記録
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こんにちは、うにです!

「新興宗教・カルト団体」が関わる小説をまとめます。読む楽しみを損なうようなネタバレはありません。

親しい友達におすすめするテンションで好き勝手言っていますので、個人の感想として参考にしていただけると幸いです。

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本選びの基準

うにの本選びの基準は以下です。

・本屋さんで目立つところに置いてある本
・好きな作家さんの本
・テーマに興味がある本
・表紙やタイトルが気になった本
・文庫化されている本

Kindle Unlimitedを契約しているので、その対象本から選ぶことも多いです。
小説は入れ替わりが激しいので、読みたい本が対象であればすかさず読むのがポイントです!

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不穏な空気にドキドキ…

「砂の王国(上)(下)」荻原浩

全財産は、3円。私はささいなきっかけで大手証券会社勤務からホームレスに転落した。寒さと飢えと人々からの侮蔑。段ボールハウスの設置場所を求め、極貧の日々の中で辿りついた公園で出会った占い師と美形のホームレスが、私に「宗教創設計画」を閃かせた。はじき出された社会の隅から逆襲が始まる!(講談社文庫)(出版書誌データベースより)

KindleUnlimitedで読んだ本。Unlimitedの小説は当たり外れがけっこうあるのですが、これは大当たりでした。上下巻に分かれていてそこそこボリュームがあるのですが、「すべてを失った元エリートサラリーマンが美形のホームレスと出会い、その男を教祖に祭り上げて新興宗教を立ち上げる」という上巻の展開がトンチキで最高!うには漫画の「賭博黙示録カイジ」が大好きなのですが、どんな媒体であれ、尖った知略や特技を活かして逆境を這い上がるストーリーっておもしろいですよね。宗教組織としての成功と創業メンバー間の亀裂が描かれる後半にも注目です。

エンタメ度:★★★★★
読了後の満足度:★★★★☆
また読み直したい度:★★★★☆

「狙われた羊」中村敦夫

カルト宗教は、心を奪い、カネを奪い、家族を壊す!
カルト教団によるマインドコントロールの恐怖と、悪辣な集金システムを描いた名作フィクション、緊急文庫化!
最近は浮気調査ばかりしている探偵の牛島のもとに、奇妙な依頼が舞い込んできた。
「人さらいはやってもらえるんでしょうか?」
依頼人の息子は、突如連絡を絶ったのだという。どうやら、あやしげな団体に深入りしているらしい。
「厄介な仕事」と踏んだ牛島は当初依頼を断ったが、秘書の坂巻に説得されて調査を開始。すると、依頼人の息子は、近年様々な問題を起こしているカルト教団に入信していることが判明した――。
世間を騒がすカルト教団、そして家族を取り返すために戦う人々を描く!(出版書誌データベースより)

フィクション形式ですが実在する団体をモチーフとしており、カルト団体への勧誘~洗脳に至るまでのプロセスがとてもリアルに描写されている一冊です。普段生活していて宗教の勧誘の人を見かけることはありましたが、この一冊をきっかけに「人はこういう風に宗教に足を踏み入れるのか…」「こういう風に抜けられなくなっていくのか…」「こういう危険があるから安易に手を出してはいけないのか…」という想像の解像度がグッと上がった気がします。30年も前に書かれた内容なだけあり、時代背景には古さを感じるのですが、テーマにあるのは現代日本でも今まさに起こっていること。社会問題を切り込みつつ読み物として面白くまとまっているので、「実際のところ何でカルトってそんなに批判されてるの?」という疑問をもつ方におすすめです。

宗教問題への理解が深まる度:★★★★★
読了後の考えさせられる度:★★★★☆
また読み直したい度:★★★★☆

「星の子」今村夏子

林ちひろは中学3年生。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形をゆがめていく。野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、芥川賞作家のもうひとつの代表作。(朝日新聞出版より)

新興宗教に傾倒する両親を持つ少女の視点から描かれた作品。こちらもKindleUnlimitedで読みました。主人公の女の子の日常生活や考え方、感じ方はごく一般的で、中学生の頃の自分と重ね合わせてみてもなんら違和感はありません。ありふれた生活のナチュラルな延長線上にある「宗教」、それがもたらす不幸がさりげなく描かれており、終始淡々とした文体の中になんとも言い表せないリアルさと切なさが漂います。上記の「狙われた羊」を読んでいるときは「なんで引っかかるの!早く目を覚まして!」と安易に思えたのですが、この「星の子」では「現状に疑問を抱くことの難しさ」を強く感じました。お話自体は短いもので、心の整理がつかないまま放り出されたような気持ちで読了。幸せって何だろう?と改めて考えさせられる一冊です。

描写のリアリティ:★★★★★
読了後の考えさせられる度:★★☆☆☆
また読み直したい度:★★★☆☆

「スイッチ 悪意の実験」潮谷験

夏休み、お金がなくて暇を持て余している大学生達に風変わりなアルバイトが持ちかけられた。スポンサーは売れっ子心理コンサルタント。彼は「純粋な悪」を研究課題にしており、アルバイトは実験の協力だという。集まった大学生達のスマホには、自分達とはなんの関わりもなく幸せに暮らしている家族を破滅させるスイッチのアプリがインストールされる。スイッチ押しても押さなくても1ヵ月後に100万円が手に入り、押すメリットはない。「誰も押すわけがない」皆がそう思っていた。しかし……。第63回メフィスト賞を受賞した思考実験ミステリが文庫化!(出版書誌データベースより)

「1ヶ月間スイッチを持っているだけで100万円もらえるバイト。スイッチを押せばとある幸せな一家が経済的に破滅し、押さなければ何も起こらない」という心理学実験から始まるミステリーです。実験の目的は「人の純粋な悪意は存在するか?」。テーマが面白そうだったので手に取りましたが、速攻でスイッチが押されて笑いました。心理学、謎解き、人間模様など予想以上に盛りだくさんでなかなか難解なお話ですが、後半に進むにつれて宗教観がキーになっているとわかる構成が面白かったです。個人的には登場人物のクセが強くて馴染めず何度か脱落しかかりましたが、こういったアプローチのミステリーは読んだことがなかったので新鮮な一冊でした。

設定のキャッチー度:★★★★★
読了後の満足度:★★☆☆☆
また読み直したい度:★☆☆☆☆

「八日目の蝉」角田光代

直木賞作家・角田光代が全力を注いで書き上げた、心ゆさぶる傑作長編。不倫相手の赤ん坊を誘拐し、東京から名古屋、小豆島へ、女たちにかくまわれながら逃亡生活を送る希和子と、その娘として育てられた薫。偽りの母子の逃亡生活に光はさすのか、そして、薫のその後は――!? 極限の母性を描く、ノンストップ・サスペンス。第2回中央公論文芸賞受賞作。(出版書誌データベースより)

角田光代さんの本のなかでも特に好きな一冊です。不倫相手の子供を誘拐して逃避行を始める希和子、誘拐犯に育てられた薫、生まれて間もない子供を希和子に奪われてしまう恵津子、新興宗教施設で育ち男性と関係が持てない千草。それぞれの境遇の違い、それぞれの辛さ、それぞれの愛情があって、どの視点にも共感できて切ないです。母子の関係を描いた作品はたくさんありますが、この作品では特に希和子と千草という2人の「産まない女性」の母性を描いている点が物語の奥行きを生んでいるように感じました。苦しく切ない中に希望もあるあたたかい読後感で、彼女らの行く先にいい未来が待っていますようにとひっそり願いたくなる一冊です。

登場人物に感情移入してしまう度:★★★★★
読了後のしみじみする度:★★★★★
また読み直したい度:★★★★☆

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