【読書記録】家族、家庭をテーマにした小説5選。カズオ・イシグロ「クララとお日さま」ほか

【読書記録】家族、家庭をテーマにした小説5選。カズオ・イシグロ「クララとお日さま」ほか 読書記録

「家族、家庭」をテーマにしたおすすめ小説をまとめます。読む楽しみを損なうようなネタバレはありません。

親しい友達におすすめするテンションで好き勝手言っていますので、
個人の感想として参考にしていただけると幸いです。

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本選びの基準

うにの本選びの基準は以下です。

・本屋さんで目立つところに置いてある本
・好きな作家さんの本
・テーマに興味がある本
・表紙やタイトルが気になった本
・文庫化されている本

Kindle Unlimitedを契約しているので、その対象本から選ぶことも多いです。
小説は入れ替わりが激しいので、読みたい本が対象であればすかさず読むのがポイントです!

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「家族」「家庭」=「ハートフル」とは限りませんよ!

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家族、家庭をテーマにしたおすすめ小説5選

「クララとお日さま」カズオ・イシグロ

AIを搭載したロボットのクララは、病弱な少女と友情を育んでゆく。愛とは、知性とは、家族とは? 生きることの意味を問う感動作。(出版書誌データベースより)

やっと文庫化化されました。面白い面白くない以前に「読む前と読む後で自分がまるきり変わってしまったような気持ちになる本」と時々出会うことがあって、うににとっては同作者の「わたしを離さないで」がその一冊です。この「クララとお日さま」は病弱な少女ジョジーの家庭に引き取られたAIロボットの女の子、クララのお話。クララ目線の読みやすく穏やかな文体で物語が展開されるのですが、「感動した」で終わらせてくれない、読み終えてからしばらくぼんやりしてしまうような厚みを感じる点は「わたしを離さないで」と同様でした。誰のどんな選択に共感を感じるか、反発を感じるか?結末を読んで「幸せな話」と感じるか、「悲しい話」と感じるか?スポットライトの当て方によって全く違う感想が浮かび上がってきて、とても複雑な読後感です。今後時間をかけて繰り返し読んで、物語が発する怒涛の問いかけに自分なりの答えを見つけていきたいなと思います。

世界観の美しさ:★★★★★
読了後の考えさせられる度:★★★★★
また読み直したい度:★★★★★

内容にネタバレを含みますが、こちらの解説記事がとても良かったです。

「夜行観覧車」湊かなえ

父親が被害者で母親が加害者--。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。(双葉社より)

ドラマにもなっていた夜行観覧車。家族ものの小説はたくさんありますが、真っ先に頭に思い浮かんだのがこちらでした。湊かなえさんの小説は安定して面白いですが、夜行観覧車は今まで読んだ湊かなえさんの本の中でもトップ5に入るくらい好きな話です。内容としてはある家庭で起こった殺人事件の真相を明かしていくミステリーですが、謎解きよりは人間ドラマの重厚さを楽しむ小説です。アッと驚くような展開や意外性はあまりない反面、それがむしろ「些細なきっかけから大きな事件に発展する」というリアリティをもって心に迫ります。終始好き勝手な主張を繰り広げる登場人物たちにイライラしたりハラハラしたりしつつ、ラストシーンの美しさに救いを感じて何度も読み返してしまいます。温かいだけじゃないけれど不思議な強さがある結びつき。等身大の家庭ってこうだよな、と思わされる一冊です。

人間ドラマに目が離せない度:★★★★★
読了後の満足感:★★★★★
また読み直したい度:★★★★★

「赤い指」東野圭吾

「家族」の物語。
犯罪を越えた本当の闇。
この家に隠されている真実は彼らの手で解かれなければならない。
ひとつの事件から見える家族の肖像。
二日間の悪夢と孤独な愛情の物語。
加賀恭一郎シリーズ(出版書誌データベースより)

東野圭吾さんの著書もたくさん読んでいますが、初めて読んだときに結末に一番ゾクッとしたのがこのお話でした。住宅地で発生した少女殺害事件の真相を明らかにしていく話で、終始暗くて胸糞悪い展開が続くので注意です。犯人は序盤に分かるのですが、頑なに何かを隠しつづける一家の秘密が徐々に明らかになっていき、そして最後に明かされるひとつの真実で物語の見え方が一変します。東野圭吾さんのお話は登場人物のキャラクター付けがわりと極端で、リアリティというよりは「舞台装置としていかに効果的か?」が追求されているように感じることが多いのですが、この話は特に構成や仕掛けが鮮やかと感じました(作中でタイトル回収される小説がうには大好きです)。引きこもり、介護、嫁姑問題など現代社会における問題を題材に、最後は切なく悲しい余韻が残るエモーショナルな一冊です。

人間ドラマに目が離せない度:★★★★★
読了後のしみじみ感:★★★★★
また読み直したい度:★★★★☆

「我らがパラダイス」林真理子

突然終わりを告げる、平穏な日々。「貧者の逆転劇」の結末は――東京・広尾の高級介護付きマンション「セブンスター・タウン」の受付係・細川邦子(48歳)、看護師の田代朝子(54歳)、ダイニングで働く丹羽さつき(52歳)。それぞれの家庭内で深刻な介護問題を抱える3人は、困窮していく我が身と、裕福な施設の入居者たちとの想像を絶する“格差”を前に、一世一代の勝負に出る!(出版書誌データベースより) 

ここまで少し重めの小説が続きましたが、林真理子さんのこちらは比較的明るさとパワフルさを感じられる一冊です。youtubeで流れてきた周防サンゴさんの切り抜き動画で「犯罪者ばっかりが出てくるやばいドラマ」と紹介されていて、紹介があまりに面白かったので気になって原作を読んでみました。富裕層向けの高級介護施設に勤めている女性従業員3名が、本来の入居者を別の施設に移し、自分の親をこっそり入居させる作戦を決行するというぶっとんだ話です。主人公たちの語り口が終始明るく、エンタメ的な側面が強いので楽しく読めますが、資産格差が老後の生活に及ぼす影響や介護現場のリアルを随所に感じられ、考えさせられる部分が多かったです。

展開の勢いがすごい度:★★★★★
読了後の爽快感:★★★★★
また読み直したい度:★★★☆☆

「修羅の家」我孫子武丸

簡易宿泊所で暮らす晴男はレイプ現場を中年女性・優子に目撃され、彼女の家につれていかれる。
そこには同じ格好をした十名ほどが「家族」として暮らしていた。
おぞましい儀式を経て一員となった晴男は、居住者は優子に虐待されていることを知る。
一方、区役所で働く北島は、中学時代の初恋相手だった愛香と再会し「家族」での窮状をきく。
北島は愛香を救い出す可能性を探るが、“悪魔”が立ちはだかる。(出版書誌データベースより) 

全然毛色の違う、ブラックな「家族」小説です。以前KindleUnlimitedで読んだ同作者の「殺戮にいたる病」が大変グロかったのですが、トリックの面白さが印象に残り、同じくKindleUnlimitedで見つけたこちらを試してみました。現実にあった事件をベースにしたストーリーは描写の苛烈さがやはりどうにも辛く、読み始めた瞬間から「早く終わってくれ」という気持ちでいっぱいに…(話の展開が気になったので苦しみながら読了)。暴力と洗脳によって一家が支配される悪意に満ちた話で、ゴリゴリと音を立てて精神が削られてしまいました。終盤できちんと一捻りある物語構成に気づかされて「なるほど~!」とは思いましたが、いろいろと耐性のある人にしかお勧めできない作品ですね。

人の悪意に慄く度:★★★★★
読了後の爽快感:☆☆☆☆☆
また読み直したい度:☆☆☆☆☆

うに
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気になる一冊はありましたか?よろしければ読んでみてくださいね♪

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