【読書記録】トラウマになる鬱小説。姫野カオルコ「彼女は頭が悪いから」ほか

【読書記録】トラウマになる鬱小説。姫野カオルコ「彼女は頭が悪いから」ほか 読書記録

トラウマになる胸糞小説、鬱小説をまとめます。読む苦しみ(?)を損なうようなネタバレはありません。

親しい友達におすすめするテンションで好き勝手言っていますので、
個人の感想として参考にしていただけると幸いです。

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本選びの基準

うにの本選びの基準は以下です。

・本屋さんで目立つところに置いてある本
・好きな作家さんの本
・テーマに興味がある本
・表紙やタイトルが気になった本
・文庫化されている本

Kindle Unlimitedを契約しているので、その対象本から選ぶことも多いです。
小説は入れ替わりが激しいので、読みたい本が対象であればすかさず読むのがポイントです!

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うに
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後味悪い小説が好きな方におすすめ。社会派からパニックホラーまで…

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トラウマになる鬱小説5選

「彼女は頭が悪いから」姫野カオルコ

郊外生まれで公立育ちの女子大生・美咲と、都心生まれで国立大附属から東大に入ったつばさ。育った環境も考え方も異なる二人が出会い、恋におちた結果…東大生5人による強制わいせつ事件となり、被害者の美咲が勘違い女として世間から誹謗中傷される。現代社会に潜む病理を浮き彫りにした傑作。第32回柴田錬三郎賞受賞。(紀伊國屋書店より)

Kindle Unlimitedで見かけて最近読んだ本。2016年に起きた集団強制わいせつ・暴行事件を着想にした作品です。概要は知っていたので「鬱小説、胸糞小説」という評判も「まあそうだろうな」と思うくらいであまり覚悟はできていなかったのですが、実際読むとめちゃくちゃメンタルにきました。何がきついかっていうと、「人権がいともたやすく、無自覚に蔑ろにされる」さまが丁寧丁寧丁寧に描かれているところ。現実世界では性別、学歴、容姿、貧富、あらゆるところにボーダーがあるけれど、自分の環境を当然のもの&自分の努力によるものと享受して、無邪気に人を蔑ろにするような人にはなりたくないな…と苦々しく感じました。フィクションらしく「東大生は傲慢でクソ」「被害者は真面目で無垢」の図式に割り切られているので、いちばんこれを読むべき層には響かなそうな作品だな…とも感じました。

胸糞が悪くなる度:★★★★★
読了後の憂鬱度:★★★★★
また読み返したい度:★★★☆☆

「天使の囀り」貴志祐介

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。(紀伊國屋書店より)

これもKindle Unlimitedですが無料でも読むんじゃなかった。絶対部屋に置きたくない本ナンバーワン、不気味さと不快さ極まれり、トラウマで表紙見るだけで怖いです。物語は、アマゾン奥地を探検したメンバーが帰国後、次々と異常な自死を遂げるという謎めいた事件を題材にしています。嫌ですよね、アマゾン奥地。バイオ系の怖いやつです。なのになんで読んでしまったかというとめちゃくちゃ面白いからです…。生物学、医学、哲学、社会学など重厚感のある描写で、パニックホラーにありがちな安っぽさが無く、詰め将棋のように緻密に人を嫌な気持ちにさせてきます。最後には「そう繋がるの~(泣)」という感じで容赦なく伏線が回収される場面もあり、絶望と気持ちよさが同居する稀有な作品でした。もう二度と読まない。

戦慄度:★★★★★
読了後の憂鬱度:★★★★★
また読み返したい度:☆☆☆☆☆

「ボトルネック」米澤穂信

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。(紀伊國屋書店より)

個人的に考える「派手な鬱小説ナンバーワン」が上記の「天使の囀り」だとすると、「地味な鬱小説ナンバーワン」に据えたいのがこの「ボトルネック」。文体とか描写の感じがやさしく無味乾燥で、小学校高学年の国語の教科書みたいな雰囲気があるのですが、最初から最後まで残酷さがうっすら蔓延していて大変しんどいです。今まで読んだ米澤穂信さんの作品の中で一番地味なのに一番こわい。時々妙に読みたくなる一方、不意に差し出されたら「あっちょっとそれやめて」と慄いてしまう感じのポジションです。「自分があのときこうしていたら…」と考えることは誰にでもあると思いますが、知らなくて済むというのは幸せなのかもしれない…。ラストは解釈の余地あり、という通説のようですが、うにはこれを読んでポジティブな解釈はできないなあ。落ち込んでいるときには絶対読まない方がいい作品です。

しんどい度:★★★★★
読了後の憂鬱度:★★★★★
また読み返したい度:★★★★☆

「静かな黄昏の国」篠田節子

「ようこそ森の国、リゾートピア・ムツへ―」化学物質に汚染され、もはや草木も生えなくなった老小国・日本。国も命もゆっくりと確実に朽ちていく中、葉月夫妻が終のすみかとして選んだのは死さえも漂白し無機質化する不気味な施設だった…。これは悪夢なのか、それとも現代の黙示録か―。知らず知らず“原発”に蝕まれていく生を描き、おそるべき世界の兆しを告げる戦慄の書。3.11後、著者自身による2012年版補遺収録。(紀伊國屋書店より)

篠田節子さんの短編小説集。高校生時代にホラーと知らずに読み、しばらく後を引いてうなされた思い出深い一冊です。ジャンルとしてはホラーやファンタジーに該当するのかな。トラウマ度合いの方向性は不気味さ・おぞましさという点では「天使の囀り」にちょっと近いですが、SF要素、不思議な透明感のある文体なので、より冷静に怖さがせり上がってくる感じです。おすすめは表題作「静かな黄昏の国」。ディストピアもので、タイトルの印象が読む前と読む後ですっかり変わって衝撃です。生理的にキツかったのは人魚の踊り食いの話。あとはあまり目立たない話なのですが、「ホワイトクリスマス」が妙に記憶に残っていて、恋愛シミュレーションゲームの実況などを見かけると未だにこの本を思い出します。

不気味度:★★★★★
読了後の憂鬱度:★★★★☆
また読み返したい度:★☆☆☆☆

「さまよう刃」東野圭吾

長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える―。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。(紀伊國屋書店より)

シンプル胸糞小説枠。15歳の少女が花火大会の帰りに男たちに連れ去られ、乱暴を受けた後、遺体として発見されるという凄惨な事件から始まる父の地獄めぐり。この少女の父親の目線で物語が進むので、もうただただ救いが無くてつらいです。復讐はよくないよね、と一般論で言うのは簡単ですが、人の感情ってそんな簡単に割り切れるものじゃないんですよね。犯人を恨み、法を恨んだ長峰が「自分だってこの世の中を作った共犯者なのだ」というような場面があって、そこで石を飲み込んだようなしんどい気持ちになりました。タイトルが「さまよう刃」なのも本質的でいいな。東野圭吾さんの作品の中では苦手な部類なのですが強烈に印象に残っている一冊です。

胸糞が悪くなる度:★★★★★
読了後の憂鬱度:★★★★☆
また読み返したい度:★☆☆☆☆

うに
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気になる小説はありましたか?よろしければ読んでみてくださいね♪

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